AEDは「Automated External
Defibrillator」の略語で、⽇本語では「⾃動体外式除細動器」と呼ばれます。心臓がけいれん(心室細動)や心室だけが早打ち(無脈性心室頻拍)して、血液を流すポンプ機能を失った状態になった⼼臓に対して電気ショックを与え、正常な⼼臓の動きを取り戻すための医療機器です。以前は医師など、限られた⼈しか使⽤が許されていなかったAEDですが、2004年7⽉から⼀般の⼈でも使えるようになりました。AEDは、救命時に必要な操作を⾳声や光の点滅で案内するため、⼀般の⼈でも簡単に使用することができます。
また、⼼臓の電気的な信号(⼼電図)を⾃動で解析することで、電気ショックが必要な⽅にのみ電気ショックを⾏う仕組みになっています。2021年7⽉にオートショックAEDが⽇本で初めて導⼊されており、電気ショック必要時にショックボタンの押下が必要ないAEDも存在しています。
AEDを使用するのは「心停止」と判断された時ですが、「心停止」とは心臓本来のポンプ機能が停止し、脳などの重要な臓器に血液を送り出せなくなった状態のことです。⼼臓がぶるぶる震えて⾎液を全⾝に送り出すポンプ機能を失った状態(⼼室細動)が原因の⼼停⽌であれば、AEDから電気ショックを与えることで、⼼臓の細かい震えを取り除くことができれば、救命することが可能です。同じ「⼼停⽌」でも、⼼臓の働きが極端に弱くなるか、全く⽌まってしまった状態になった場合は、AEDを装着しても「電気ショックは不要です」とアナウンスされます。ただし、⼼停⽌状態であることに変わりはなく、脳や全⾝に⾎液を送らなければなりませんので、胸⾻圧迫(⼼臓マッサージ)を⾏う必要があります。AEDを装着すれば⾃動で解析が始まり、電気ショックが必要かどうかを判断しますので、意識がなく、正常な呼吸が無い患者さんに対してはどちらの場合でもAEDを使うことが有効になります。
右のグラフは⼼停⽌となってから電気ショックまでの時間と救命率を⽰したものです。電気ショックが1分遅れるごとに救命率は約7〜10%ずつ低下します。⽇本では119番通報をしてから救急⾞が到着するまでの平均時間は9.4分と⾔われておりますので、救急⾞が到着する前に傷病者の近くにいる私たちがAEDを使った除細動や胸⾻圧迫を⾏うことが⾮常に重要になります。
傷病者を⾒つけても、すぐに近づこうとしないでください。
周囲の安全(⾞が来ていないか、上部から落ちてきそうな落下物がないか等)を確認し、傷病者に近寄って声をかけてください。
まずは⾃分の安全の確保が重要です。
肩を軽くたたきながら「⼤丈夫ですか?」と⼤声で呼びかけても意識がなければ応援を呼び、119番とAEDの⼿配をお願いします。
胸と腹部の動きを素早く(10秒以内で)⾒ます。
普段どおりの呼吸でなければ“呼吸なし”と判断します。
※しゃくり上げるような不規則な呼吸が⾒られる場合も“呼吸なし”と同じ扱いにしてください。これは“死戦期呼吸”と呼ばれ、⼼停⽌のサインのひとつです。
また、判断に迷う場合も、救命措置に移ってください。
胸が約5cm沈む程度の深さで、1分間に100〜120回のテンポで強く、早く、絶え間なく、押します。⼈⼯呼吸の技術と意思がある場合のみ、胸⾻圧迫30回、⼈⼯呼吸2回のサイクルの繰り返しを⾏います。⼈⼯呼吸の技術と意思がない場合には、胸⾻圧迫のみを⾏います。
電源を⼊れ、AEDの⾳声ガイダンスの指⽰に従ってください。
AEDによる⼼電図解析と電気ショックを⾏う際は、傷病者に触れないようにしてください。
※オートショックAEDの場合は、装置が⾃動で電気ショックを⾏います。
⾳声ガイダンスの指⽰に従い、電気ショック時には⾝体から離れてください。
AEDは2つのタイプ(従来型AED(セミオートAED)とオートショックAED)があり、それぞれ操作方法が異なります。
まず、電源ボタンを押して電源を⼊れます。
その後、スピーカーから⾳声が流れますので、指⽰に従って操作してください。
緑のタブを引いてパッドを本体から取り出し、袋からパッドを取り出します。その後、パッドをフィルムからはがし、電極パッドに記載されているイラストの通り、右胸と左わき腹にしっかりと貼り付けます。その後、⾃動で解析が始まります。
※体表⾯が濡れている場合や、電極パッドがしっかりと⾝体に貼り付けられていない場合は、解析に移⾏しない等の問題が⽣じる可能性があります。
電気ショックが必要となる場合は、「患者から離れてください。電気ショックが必要です。」とアナウンスを発しますので、⾳声ガイダンスに従い、オレンジ⾊のショックボタンを押してください。電気ショック成功後は⾳声ガイダンスに従い、胸⾻圧迫を続けてください。
電気ショック必要時に、
ボタンを押す必要がありません
まず、電源ボタンを押して電源を⼊れます。
その後、スピーカーから⾳声が流れますので、指⽰に従って操作してください。
緑のタブを引いてパッドを本体から取り出し、袋からパッドを取り出します。その後、パッドをフィルムからはがし、電極パッドに記載されているイラストの通り、右胸と左わき腹にしっかりと貼り付けます。その後、⾃動で解析が始まります。
※体表⾯が濡れている場合や、電極パッドがしっかりと⾝体に貼り付けられていない場合は、解析に移⾏しない等の問題が⽣じる可能性があります。
電気ショックが必要となる場合は、「患者から離れてください。電気ショックを行います。3、2、1、電気ショックが行われました。」とアナウンスを発します。電気ショック成功後は音声ガイダンスに従い、胸骨圧迫を続けてください。
電気ショック不要の⼼電図波形になっており、決してAEDが壊れているわけではありません。
そのままAEDの⾳声ガイダンスの指⽰に従い、救急隊到着まで胸⾻圧迫を続けてください。
胸のパッドを貼る位置が濡れている場合、パットを貼る部分とその周辺の⽔分はタオルなどでふき取るようにしてください。
患者にペースメーカーが装着されている場合は、電極パッドをペースメーカーの位置から避けて貼るようにしてください。
電気ショックにより、ペースメーカーが損傷することがあります。
除細動を行った後、ペースメーカーの動作が正常か医療機関でのチェックを受けることを推奨します。
未就学児の傷病者に対してもAEDは使⽤できます。AEDの種類に合わせて、未就学児⽤の電極パッド、もしくは未就学児モードを選択し使⽤してください。
未就学児用のパッドを備えたAEDが近くにないなど、やむを得ない場合に限り、小学生~大人用(成人用)の電極パッドを使用してください。
貼り薬の上から電極パッドは貼らないようにしてください。また、貼り薬を取った後は、タオルで⽪膚の汚れや⽔気をふき取って、電極パッドを貼るようにしてください。
本来貼り付ける位置に近い場所で胸⽑の少ない場所に張り付けるか、胸⽑が多い場合はカミソリを使って、あらかじめ胸⽑を剃ってから電極パッドを貼り付けます。